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す。
一方、インスリン非依存型については、熊本大学のグループが行った研究があります。そこで定めた努力目標は空腹時140以下、随時が200以下、HbAlcが7%というものでした。この努力目標を掲げて行ったインスリン治療は、やはりインスリンの注射回数を3回、4回とふやしてやれば、1、2回と比べて明らかに血糖も、HbAlcも、その他のデータも普通の注射の仕方よりもよかったということがわかりました。そういう研究を踏まえて、この熊本スタディは空腹時の血糖値を110以下にし、食後を180以下にし、HbAlcを6.5%以下にすれば合併症のほとんどは防げるとしたわけですが。IDDM、NIDDMという病態の差を踏まえても、血糖は少なくとも食前で140以下、食後で200以下、HbAlcで7%以下という日本糖尿病協会の『糖尿病手帳』で掲げている数値は、すべての患者さんで達成してもらいたいレベルだということになります。
本当に合併症が阻止できるレベル、つまり目標とするレベルはDCCTも熊本スタディも食前で70〜110、食後で100〜140、HbAlcで6%以下、すなわち正常を目指しているということです。
妊娠に際しては非常に厳しい血糖コントロールが要求されます。ですから妊娠糖尿病と診断された場合には、その時期であっても、この血糖レベルが維持できるようなコントロールをしなければいけません。そうでないと胎児への影響も大きいし、また周産期のトラブルも起きやすいということがあるからです。
以上のように糖尿病が顕性化した要医療とされた人たちについて血糖を中心に考えると、このレベルが目標になる。現実対応としては、少なくともこのレベルはすべての患者さんで満足されなければならないということです。そうしないと糖尿病に特有な合併症が防ぎきれないし、また、発症した合併症がさらに増悪して失明に至り、透析に至り、下肢の

 

 

 

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